スマホで仕事:ジェンスパーク+Termux+Claude Code+Gemini CLIでパソコンから解放された話
目次
私はソフトウェアエンジニアとして20年間、パソコンに齧り付いて仕事をしてきました。現在は独立してWeb・SNS関連のコンサルティングやアプリ開発などを行っています。そんな私がたどり着いた結論は、「もうパソコン要らなくない?」というものです。実際、大画面が必要な作業以外はほぼスマホだけで仕事をしています。この記事では、私が実際に使っているツール構成と、スマホ開発の具体的な方法をリアルに紹介します。
ジェンスパーク・Termux・Claude Code・Gemini CLIを組み合わせた「スマホだけで完結する開発環境」の構築方法と、20年エンジニアが実際に感じた各ツールのリアルな評価。
20年エンジニアが出した結論「パソコン要らない」
エンジニアとして長年働いてきた私にとって、パソコンは仕事道具の中心でした。ところが、AIツールの急速な進化によって、その前提が根本から覆りつつあります。移動中・外出先・自宅のソファでも、スマホ1台で本格的な開発や資料作成ができる時代になってきました。
「スマホで開発なんて無理でしょ」と感じる方の気持ちもよく分かります。私も最初はそう思っていました。しかし、AI技術の進化はその常識を打ち破りつつあります。特にジェンスパークの台頭と、AndroidのLinux環境「Termux」の組み合わせは、スマホ開発の可能性を大きく広げました。
スマホ移行できなかった3つの壁とAIによる突破口
スマホへの移行が難しかった業務として、パワーポイント資料作成、アプリケーション開発、ホームページ・ブログ作成の3つが挙げられます。これらの業務は、AIツールを使うことでスマホでも十分にこなせるようになりました。
| 業務 | 以前の壁 | 今の解決策 |
|---|---|---|
| パワーポイント資料作成 | スマホでのレイアウト操作が困難 | ジェンスパークのAIスライド機能 |
| アプリケーション開発 | IDE・ターミナル環境がスマホに存在しない | Termux+Claude Code / Gemini CLI |
| ホームページ・ブログ作成 | コーディング・デプロイ作業がPC前提 | ジェンスパーク+Termux+Claude Code |
テーマや要点を入力するだけで、デザインが整ったスライドを自動生成してくれます。スマホのブラウザから操作でき、出力クオリティも商用レベル。2026年現在、スマホでのスライド作成ツールとしてはジェンスパークが最も実用的です。
使用ツールの全体像と使い分け
私の実際のワークフローを整理すると、「構想・プロトタイプはジェンスパーク、細かい実装はTermux+Claude Code、課金上限に達したらGemini CLI」という流れになっています。それぞれの役割分担を説明します。
ジェンスパークだけでアプリ開発を完結させることも技術的には可能です。しかし、全部をジェンスパークで行うとクレジット消費が激しくなります。そこで、構想検討・画像作成・プロトタイプ作成はジェンスパーク、細かい実装・修正・デプロイ作業はTermux+Claude Code or Gemini CLIで行うという役割分担が、コストパフォーマンスの面で最適解だと感じています。
Web版Claudeは、Cloudflareのセキュリティ(ボット対策)に弾かれてしまいアクセスできないため実用的ではありませんでした。また、Firebaseは現状AI連携の能力が低く、私の用途では実用的ではありませんでした。外部サービスへのアクセスが必要な開発には、Termuxが現状最も柔軟な選択肢です。
ジェンスパーク:スライド作成とプロトタイピングの最強兵器
ジェンスパークはブラウザからそのまま使用できます。特別なインストールは不要で、スマホのChromeやSafariでアクセスするだけです。公式サイトからGoogleアカウントなどでサインアップすれば、すぐに利用開始できます。
私が特によく使う場面は、新しいアプリの構想段階です。「こういう機能を持つアプリを作りたい」とざっくり伝えるだけで、画面設計・技術スタック・実装順序まで提案してくれます。このプロトタイプ設計フェーズをジェンスパークに任せることで、その後のTermuxでの実装作業が格段にスムーズになります。
①最初の指示を具体的に出す(曖昧な指示は何度もやり取りが発生しクレジットを消費)、②出力量を明示する(「スライド5枚で」「500文字で」など)、③修正は差分だけ指示する(「3枚目のタイトルだけ変えて」など)。この3つを意識するだけでクレジット消費を大幅に抑えられます。
Termux+Claude Code:本格開発のインストール手順
TermuxはAndroidスマホ上でLinux環境を動かせるアプリです。これを使うことで、通常はPCでしかできないターミナル操作がスマホで可能になります。
Termuxのインストール
TermuxはGoogleのPlayストアからもインストールできますが、PlayストアのTermuxは開発が停止しています。最新機能・最新パッケージを使うにはF-Droid版が推奨です。(私個人が使う分には問題ないのでPlayストア版を使っていますが、基本的にはF-Droid版をおすすめします。)
Node.js&Claude Codeのインストール
Termuxを起動したら、以下のコマンドを順番に実行します。
pkg update && pkg upgrade
pkg install nodejs
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
tmpアクセス問題の解決(重要)
このままClaude Codeを起動すると、「tmpにアクセスできない」というエラーが発生し、Bashコマンドなどが使えない状態になります。termux-chrootというコマンドを使うことで、/tmpを含む標準的なLinux環境がエミュレートされ、この権限問題が解消されます。以下のコマンドを実行してからClaudeを起動してください。
pkg install proot
termux-chroot
claude
CloudflareサーバーへアクセスするためのWranglerコマンドは、Termuxに正式対応していません。自力でインストールしようとすると非常に難しいため、Claude Codeにインストールを依頼するのが近道です。「Termuxにwranglerをインストールして」と頼むと、入らないライブラリをLinuxと偽装してインストールするか、そのライブラリを無視するかの方法を自律的に試してくれます。
Termux+Gemini CLI:無料枠最大活用の切り札
Gemini CLIの詳細なセットアップ方法は過去記事(Termux+Gemini活用ガイド)を参照してください。ここでは、Claude Codeと比較したGemini CLIの使い所を中心に紹介します。
現状、私はClaude Codeの方が使いやすいと感じています。しかしGemini CLIにはかなり大きな無料枠があるため、Claude Codeの利用制限に達してしまったタイミングで活躍します。「今日の課金上限に達してしまった…」という時でも、Gemini CLIに切り替えることで開発を継続できます。詳細はGemini CLI公式GitHubも参照してください。
Gemini CLIもTermux非公式対応のため、通常の npm install では途中でエラーが出ます。--ignore-scriptsオプションを使ってインストールスクリプトをスキップするのが解決策です。詳しい手順はこちらの記事をご覧ください。
各ツールの使用感を正直に5段階評価
スマホから操作する際の私の主観的な評価です。それぞれ良い点・悪い点がありますが、この評価表を見ると、なぜ「いいとこ取りで使い分ける」構成になるかが分かるかと思います。
| 評価項目 | ジェンスパーク | Termux+Claude Code | Termux+Gemini CLI | Web版Claude | Firebase |
|---|---|---|---|---|---|
| AIエージェント能力 | ⭐⭐⭐⭐(4) | ⭐⭐⭐⭐⭐(5) | ⭐⭐⭐(3) | ⭐⭐⭐⭐⭐(5) | ⭐(1) |
| スマホ操作性 | ⭐⭐⭐⭐⭐(5) | ⭐⭐⭐⭐(4) | ⭐⭐⭐⭐(4) | ⭐⭐⭐⭐⭐(5) | ⭐⭐⭐(3) |
| Cloudflareアクセス | ⭐⭐⭐⭐⭐(5) | ⭐⭐⭐⭐(4) | ⭐⭐⭐⭐(4) | ✗(0) | ⭐(1) |
| コスト | ⭐⭐(2) | ⭐⭐⭐⭐(4) | ⭐⭐⭐(3) | ⭐⭐⭐⭐(4) | ⭐⭐⭐⭐⭐(5) |
ジェンスパークはUI・操作性とCloudflareアクセスは最高点ですが、クレジット消費の多さでコストが低め。Claude CodeはAI能力とコストのバランスが優秀ですが、Termuxの環境構築に少し手間がかかります。Firebase(Google)はコスト最高ですが、現状AIエージェントの能力と外部アクセスが弱く、私の用途では実用的でありませんでした。Web版Claudeは高性能ですが、Cloudflareへのアクセス禁止が致命的な制約です。
①ジェンスパークで構想・設計・プロトタイプを作成 → ②Termux+Claude Codeで実装・デプロイ作業 → ③Claude Codeの課金上限に達したらTermux+Gemini CLIに切り替え、という流れが現在の最適解です。ジェンスパークとClaude Codeの詳しい比較はClaude Code vs ジェンスパーク 徹底比較もご参照ください。
まとめ:スマホ開発ライフのすすめ
スマホでも開発仕事ができる時代になってきました。20年間パソコンに齧り付いてきた私が言うのですから、これはお世辞でも誇張でもありません。もちろん、大画面での作業や、非常に複雑な大規模開発には依然としてPCが有利です。しかし、日常的な開発・修正・デプロイ・資料作成の多くはスマホで完結できます。
もちろん、スマホ開発にも弱点はあります。バッテリー消費が激しいことや、複数ファイルの差分(Git Diff)の確認がしづらいことです。長時間の作業にはBluetoothキーボードが欲しくなりますし、最終的な全体コードレビューだけはPCの大きな画面で行うこともあります。しかし、作業の8割をスマホで完結できるという事実が、私のフットワークを劇的に軽くしてくれました。
・スライド・資料作成 → ジェンスパーク(ブラウザのみ、インストール不要)
・本格的な開発・実装 → Termux+Claude Code(proot+termux-chrootで/tmp問題を解決)
・課金上限の予備環境 → Termux+Gemini CLI(--ignore-scriptsで回避インストール)
・Cloudflare連携 → ジェンスパーク or Termux(Web版Claudeは非対応)
皆さんのスマホ開発ライフの一助になれば嬉しいです。まずはジェンスパークの無料プランから試してみてください。「AIに仕事を任せる」感覚を体験すると、パソコンへの依存度が確実に下がっていきます。