【開発実績】通常3ヶ月かかるSNSアプリを、ジェンスパーク(Genspark)と1週間で開発した全記録
目次
はじめに:3ヶ月の仕事を1週間で終わらせる
「SlackやTeamsの料金が高すぎるなら、自分たちで作ってしまえばいい」
そんな思いつきから始まったコミュニティアプリ開発プロジェクト。通常、フロントエンドとバックエンドを備えた本格的なSNSアプリを一人で開発する場合、設計からデバッグまで含めると最低でも3ヶ月、集中して取り組めない環境なら半年はかかる規模です。
しかし、ジェンスパーク(Genspark)というAIエージェントを徹底的に活用することで、この期間を「実質1週間(工数丸4日)」に短縮することに成功しました。これは単なるコード生成ではなく、AIを「エンジニアチーム」として指揮した記録です。
開発規模とスペック:22,500行の正体
今回開発したアプリは、簡易的なプロトタイプではありません。認証、リアルタイム通知、DM、ファイル管理までを備えたフルスタックアプリケーションです。
アプリケーション規模
- 総行数: 約22,500行
- ファイル数: 121ファイル
- フロントエンド: Next.js 15, React (約11,000行)
- バックエンド: Cloudflare Workers, Hono (約11,000行)
機能別の内訳を見ても、投稿・返信機能(4,000行)、DM機能(3,000行)、認証周り(2,000行)と、人間が手入力するには気が遠くなる量をAIが生成しています。特にTypeScriptによる型定義や、Next.js 15といった最新技術への対応は、AIならではのスピード感です。
衝撃のコストパフォーマンス:300ドル vs 3ヶ月の人件費
開発にかかった金銭的コストも公開します。
- 初期課金: 100ドル
- 追加クレジット: 200ドル(開発後半のトラブル対応等で消費)
- 合計: 300ドル(約45,000円)
成果:開発効率90%向上
エンジニア1名の3ヶ月分の人件費を考えれば、300ドルというコストは破格です。AI開発は単なる「時短」ではなく、圧倒的な「コスト削減」ソリューションであることが実証されました。
成功の鍵:工程を10段階に分解する「品質チェック」戦略
AIに「SNSアプリを作って」と一言投げるだけでは、この規模のアプリは絶対に完成しません。成功の要因は、開発工程を細かく分解し、各フェーズで人間が「品質チェック」を挟んだことにあります。
私が実践した「AI指揮フロー」は以下の通りです。
- 構想検討: アイデア出しと要件の洗い出し
- 要求定義書作成: AIにドキュメントを書かせる
- 設計書作成: 詳細設計書を3つ作成
- ユースケース定義: ユーザーの動きを定義
- バックエンド実装: まず裏側の処理を作る
- バックエンドテストリスト作成: テスト計画を立てさせる
- デバッグ(BE): APIの動作確認
- フロントエンド仕様書作成: 画面周りの設計
- フロントエンド実装: UI構築
- フロントエンドデバッグ: 結合テスト
重要:AI任せにせず、工程ごとに「区切り」を入れる
一気にコードを書かせようとするとAIは混乱します。工程ごとにドキュメントを作成させ、人間がそれを承認してから次へ進む。この「上流・下流の分断」こそが、私の工数を大幅に削減できた最大の理由です。
泥臭い現実:18回のフリーズと「AIの限界」
良いことばかりではありません。AI開発のリアルな「苦労」もお伝えしておく必要があります。基本機能が完成するまでに、以下のようなトラブルに見舞われました。
- チャット画面の応答停止(フリーズ): 18回
※ブラウザの負荷ではなく、ジェンスパーク側のシステムエラーで応答が完全に止まる現象。リロードしても復帰せず、新しいチャットを立ち上げ直すしかないため、こまめな保存をしていないと作業内容が全ロストします。 - Bash(コマンド操作)不能: 8回(サンドボックス環境の接続切れ等)
- 仕様の抜け漏れ: 開発後半になって「あ、この機能がない」と気づく(構想段階での詰めが甘かった)
- DBリファクタリング地獄: 途中でDB構造を変える必要が生じ、修正が連鎖的にバグを生む
特に「応答停止」は厄介です。AIとの会話履歴が長くなると発生頻度が上がる傾向にあり、強制的に新規チャットへ移行せざるを得ません。Gitへのコミットやドキュメントのダウンロードを怠っていると、数時間の作業が一瞬で無駄になります。
また、「開発後半での仕様変更」も致命的です。AIは指示通りに作りますが、「将来の拡張性」まで勝手に配慮してくれるわけではありません。人間側が最初の段階で「よく読む」「先を見通す」ことができていないと、後半で手痛いしっぺ返しを食らいます。
まとめ:AI開発は「魔法」ではなく「指揮」である
22,500行のコードを1週間で書き上げる体験は、まさに魔法のようでしたが、その裏には綿密なプロセス管理と、度重なるトラブルシューティングがありました。
AIは「最強の作業員」ですが、「完璧な監督」ではありません。監督はあなた自身です。適切な指示、こまめな品質チェック、そしてトラブル時の冷静な対応があれば、個人でも大手企業のプロダクトに匹敵するアプリを作り上げることが可能です。
次回予告
この爆速開発の中で最も苦労したのが「フロントエンド開発」でした。Next.jsが重すぎて動かない、テストツールが全滅する...そんな絶望的な状況をどう突破したのか? 次回の記事で詳しく解説します。